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日本語教師こぼれ話

卒業まであと少し

 千駄ヶ谷にはいくつか校舎がありますが、東京・下落合の付属校では、クラスの9割の学生が、大学院や大学、専門学校への進学を目指しています。彼らは最長2年間、短い学生は1年3カ月で日本語学校を卒業します。

 「形容詞」、「て形」や「ない形」、「授受表現」…、一緒に初級から勉強してきた学生が、今年に入り、大学や大学院に合格したという報告を受けるようになり、本当に自分のことのようにうれしく思います。また、この時期は、いつも明るかった学生が、授業中なぜか顔色がさえなかったり、一見いつもと同じように見えて、なんとなく元気がない日があったりします。何も聞きませんが、「受験の結果待ちなんだな」と思って黙って見守っています。
しばらくして、クラスの授業に入ると、久しぶりに、すっきりしたすがすがしい表情で授業を受けています。「ああ、合格したんだ」と思うと、私も自然と笑顔になってしまいます。

 卒業まであと少し。学生達が、自分の希望する進路に進めるよう、一緒にがんばっていきたいと思います。(山田)

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『卒業式』

 3月16日、杉並公会堂にて卒業式が行われました。普段の授業から進路指導まで深く関わってきた学生たちの晴れ姿は、嬉しくもありちょっぴり寂しい気持ちにもなります。

 卒業式当日、ある学生から熨斗袋を渡されました。「熨斗袋!?」とビックリしましたが、当然入っていたものはお金ではありません。その中には手紙が入っていました。

 「先生のおかげで大学に合格しました。楽しい2年間でした。ありがとう。」

 よく見ると、鉛筆で何度も書き直した跡があります。 願書を書くのに苦戦していた姿を思い出し、この手紙も何度も消して書き直したんだろうなと感じました。 そして、ある日の授業で「日本ではお祝い事がある時に、熨斗袋にお金を入れて渡すんだよ」と言ったのを思い出しました。 きっと卒業という「お祝い事」だから、熨斗袋に手紙を入れたのでしょう。 一生懸命書いた手紙を熨斗袋に入れている姿を想像すると、心がとてもほっこりしました。(松村)

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『漢字、漢字、漢字…。』

 「先生、漢字は全部でいくつありますか。」

 漢字の勉強を始めた留学生からよく聞かれる質問です。小学校で勉強するのが約1000字。さらに常用漢字となると約2100字。この数字を答えると、学生の目は「点」になります。

 日本での大学進学を目指す留学生のコースでは、初級でひらがな、カタカナの学習が終わると漢字の勉強が始まります。日本人も小学校~高校までひたすら覚え続けた漢字。大人になって、漢字のない国から来た留学生にとってはとてつもなく大きな山です。

 でも学生たちは、私たちが想像もしない漢字のとらえ方をしているようです。

「遅」= 遅刻するのは人なのに、どうして羊がいるんですか?

「歩」= 「少し」+「止まる」、なのにどうして「あるく」んですか?

「内」「肉」= 体のなか(内)には肉があるという意味ですか?じゃあ、「人(←肉の5,6画目)が「にく」の意味ですか?

「家」= 家は人間が住むところです。ぶた(豚)が家の中にいるのはおかしいです!

日本語教師の力では、日本から漢字を消すことはできません。でも、少しでも学生の負担が減るようにサポートすることが、日本語教師の大切な役割だと思っています。(勝間田)

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春のバーベキュー遠足

 当校では、春と冬の年に二回、遠足があります。今年は5月15日に昭和記念公園へバーベキューに行ってきました。

 遠足は、学生の普段とは違う顔を見られるいい機会です。教室ではおとなしい学生が積極的に食材を運んでくれたり、授業中は不器用に見える学生が炭火を起こすのが妙に上手だったり。調理のアルバイトで鍛えた腕を披露し、見事な焼きそばを作ってくれる学生もいました。改めて、教室で見せる顔は学生のほんの一面でしかないということを痛感しました。

 また、遠足は、日本語での自然なコミュニケーションの場でもあります。「肉、焼けた?」「火がつかない!」「ビニール袋を開けて」など、学生が苦手とする自動詞・他動詞を使って、一生懸命コミュニケーションを取っている姿が印象的でした。

 当日は快晴。学生にとっても教職員にとっても忘れられない一日になりました。(藤原)

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漢字は便利

 6月21日に日本留学試験EJUが行われました。この試験は大学の授業を理解するだけの日本語や基礎教科の知識があるかを測る試験で、試験の結果をほとんどの大学の出願時に提出することになっています。つまり大学に進学したい学生にとってEJUで高得点をとることは非常に重要です。

 私たちの学校では、学生のレベルに合わせてEJU対策のクラスを複数設けていて、私はベトナムやサウジアラビアの学生など非漢字圏の学生が集まったクラスを担当しています。漢字圏と非漢字圏で差が出るのは読解問題です。漢字圏の学生は知らない言葉があっても、文章の意味はおおよそ理解できますが、非漢字圏の学生はそうはいきません。

 しかし、きちんと文章が読める非漢字圏の学生もいます。私はその学生にEJUの読解問題のように難しい言葉が多い文章をどのように読んでいるのか、聞いてみました。すると漢字圏の学生と同じように、知らない言葉があっても漢字を見て意味を推測しながら読んでいると言うのです。彼に言わせると、漢字は意味があるから便利なんだそうです。私はそのレベルに到達するまで漢字を勉強した彼の努力に感心するとともに、初級の漢字授業で絵などを使って漢字の意味を印象づけることの重要性を改めて感じました。「非漢字圏の学生達にとって漢字は難しいものだ」と済ますのではなく、便利だと思われることを目標に日々の漢字授業の内容を工夫していきたいと思います。(土田)

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クラスメートは教師!?

 現在私が担当するクラスには、中国・台湾・韓国・タイ・ベトナム・サウジアラビア・リビア・フランス・シンガポールの計9カ国の学生がいます。毎日の授業は刺激的でとてもおもしろいです。

 教室での共通語はもちろん日本語ですが、同じ国籍の学生が集まるとつい母語で話してしまいがちです。先日、何度注意をしても中国語を話してしまう学生を非漢字圏の学生で挟むように座らせました。すると、それからは一切中国語を話さずにずっと日本語で話すようになりました。タイ人に漢字の説明をしてあげる中国人、中国人に漢字の読み方(ひらがな)をこっそり教えてあげるタイ人、一緒に教えたがるシンガポール人、その間違いを指摘するフランス人、それに対して冗談を言う韓国人とベトナム人などなど、教室全てが日本語という環境。教師が注意するよりも、クラスメートと話したいという気持ちのほうが効果があったようです。

 自国との比較をさせても9種類の考え方や習慣が出てきます。大切なのは他を批判するのではなく、まずは知ること。たとえば、最近ではラマダン(イスラム教徒が行う断食)がありました。あまり関心がなかった学生も、クラスメートが必死に日本語で説明する異文化を素直に吸収し、お互いに理解しようと歩み寄っていきます。体調を気遣ったり彼らの前で水を飲むのをためらったりと各自が異文化を理解しようとする姿に嬉しさを感じました。

 教師よりクラスメートのほうが素敵な教師になることもあります。私も学生から学ぶことは多々あります。知識だけではなく、そのような機会を与えて色々感じてもらうことも大切な時間だと改めて思いました。(三澤)

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新たな異文化体験

 先日、新たな異文化体験をしました。日本語能力試験の結果が0点だった欧米の学生が、ちゃんと解答したのになぜ0点なのかと質問に来ました。試験センターに問い合わせると、答えをペンでマークしたからとのことでした。

 以前にも中東の学生が同じ理由で0点になり、それ以来、校内で模試を行う時には鉛筆でマークするよう注意するようになりました。中国や韓国の学生が多かった時には、わざわざ言わなくてもよいことでしたが、学生の国籍が多様化し、「鉛筆でマーク」は当たり前のことではなくなりました。

 今回の学生は、本試験の時、ペンの使用を注意されなかったことにも不満を漏らしていました。校内模試なら教師が注意しますが、本試験ではマークシートに鉛筆でマークするよう大きく注意書きされていますから、注意されないでしょう。

 教師がペンの使用を「注意」して止めさせるのではなく、日本で試験を受ける時のルールとして理解させるべきだと思いました。そもそも受験スタイルが国によって違うことを教師が理解しなければいけません。異文化理解 、学ぶことは尽きません。だから日本語教師の仕事は楽しいと思います。(関川)

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「面接練習」

 千駄ヶ谷日本語学校には日本の大学、大学院、専門学校への進学を希望する学生が多く在籍しています。学生たちはこれまで培った日本語力を最大限に活かし、進学先の資料を集め、必要な書類を準備し、面接の練習をします。

 先日、大学入学試験の面接を間近に控えた学生と面接の練習をしました。練習の初日は言いたいことがなかなか伝わらず、お辞儀もうまくできませんでした。

 面接練習では志望理由などの話す練習はもちろん、お辞儀や入室などのマナーの指導もします。部屋のドアをノックし、「失礼します」と言ってお辞儀をし、ゆっくり歩いて椅子の横に立ち、面接官の目を見て名前を言う……。張り詰めた空気の中、この一連の動作をするのは誰でも緊張するものですが、留学生は日本語で面接を受けるわけですから、私たち以上に緊張することでしょう。また、日本人にとっては当たり前であるお辞儀は多くの外国人にとって難しい動作のようです。首が前に出てしまったり、背中が丸まっていたり、相手の目を見ながらお辞儀をしたりする人もいます。一度ではなかなかうまくできるようにはならないため、何度も繰り返し練習します。

 練習は時間がかかりましたが、他の学生とも一緒に練習したり、自身の面接の様子を動画で撮って見てみたり、色々な先生と話す練習をしたりして回数を重ねることで、最後には自然なお辞儀もできるようになり、言いたいこともしっかり伝わるようになりました。

 本番の面接後に学校でその学生に会ったとき、「練習でしたことと同じことを聞かれて、うまくできました」と明るい表情で言っていました。全力で頑張る学生一人一人の夢や目標のために、教師も全力でサポートしています。(阿部)

 

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「ゲームをやめた理由」

 授業で「ゲーム依存症」をテーマに話し合っていたときのことです。学習者自身のことを振り返り、子どもや若者とゲームの関わり方について自由に意見を出してもらいました。

 母国では学校にいる時間以外はゲームばかりをしていたという人や、全くしなかったという人もいました。おもしろいことにゲームに熱中していたのは全員男性で、女性はあまり興味がなかったようです。その中である学習者が、ゲームとの接触を減らした話を始めました。「自分も高校生までは1日何時間もしてきたが、ある時、このままでは自分がダメになると思った。将来いい生活をするためにお金がたくさん欲しいので、そのために勉強して大学に入ってたくさんお金を稼ぎたい。」という話でした。他の学生からは「おーっ」とどよめきがおこりました。

 「自分は何がしたいのか」という目標を持ちづらい学習者たちがゲームにのめり込むことも理解できます。その一方で、自ら見つけた目標に向かって進んで行こうとする彼を頼もしく思うとともに、まだ目標が定まらない学習者に寄り添って一緒に答えを見つけていこうと改めて思いました。(阪上)

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「教科書だけじゃない」

 中級クラスを担当していて、授業で映像を使うことがあります。

私が授業でよく扱うのは、日本のニュース番組です。つい先日は、冬休み明けの授業だったので、箱根駅伝のニュースを扱いました。新聞でもテレビでもインターネットでも、あれほど連日取り上げられていたのだから、学生からは「あ~!知っています!」という声が出ると思ったのですが…箱根駅伝を知っていた学生はわずか1名。以前学生が、「新聞は読まない」「テレビは持っていない」「ネットはゲームだけ」と言っていたことを思い出しました。日本のお正月の風物詩だということを伝え、ニュースを見始めました。

 知っている大学名が聞こえてきたり、自分と同年代の学生が走っていたりして、興味深そうに画面を見つめる学生たち。「たすき」「連覇」「7人抜き」という言葉も自然と覚えていきました。

 また、途中で流れるCMにも興味を示し、歌をまねて口ずさんでみたり、「このかわいい人は誰ですか」と聞いてきたり、「これは中国にも売っています!」と教えてくれたりしました。

 そんな学生の様子を見て、テレビも立派な教材だと改めて感じました。情報満載な上、おもしろく、生きた日本語が学べるのです。せっかく日本へ来たのですから、教科書以外のあらゆるもの活用して、日本語力をつけていってほしいと思います。(川畑)

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「休み時間」

 授業間の休み時間はなるべく学生とコミュニケーションをとるようにしていました。 学生たちが堅苦しい拘束から解放されて、じゃれ合ったり、どこかで覚えてきた ちょいワル日本語を使って冗談を言い合ったりしている姿をいつも微笑ましく見て いました。

 しかし、最近の休み時間の教室はすっかり様変わりしてしまいました。  チャイムが鳴った途端、学生たちが一斉にスマホに手を伸ばし、瞬時に全員自分の 世界。

 教室内は一時停止ボタンが押されてしまったかのように静止画となります。知りたい 情報はネットで探す。暇なときは携帯ゲーム。さびしくなったら隣に座っている学生 とLINEでおしゃべり。携帯が万能になるにつれて会話も自然消滅する。

 わたしは会話も冗談もなくなったこの無音の空間を何ともさびしく感じます。相手 の目や顔を見て会話をすることは、デジタルの世界とは違う感覚が得られることを いつか学生たちに気付いてほしいと思います。(尹)

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「新たな成長へ」

卒業式前日の最後の授業で、3クラス合同の発表会を開きました。各クラス45分の持ち時間で日本語力を披露できることをするという発表会でした。2クラスは劇を、1クラスはアニメのアテレコをしました。

準備の段階では、なかなかまとまって練習することができず、学生たちは不安を抱えていましたが、本番では3クラスとも素晴らしい発表になりました。普段の授業の時は、携帯で遊んだり寝たりすることもあった学生も楽しそうに、また少し恥ずかしそうに発表していました。

そして卒業式の日、学生たちはスーツを着て杉並公会堂に集まりました。卒業証書授与で一人一人の名前を呼ぶときは様々な思い出がよみがえり、私は誇らしい気持ちと寂しい気持ちでいっぱいになりました。日本語学校は、学生にとって夢を叶えるための過程に過ぎないかもしれませんが、この先、彼らが自信を持ってそれぞれの道を進んでいくための助けになれるよう、自分自身も日本語教師として成長していきたいと改めて思いました。(中田)

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